お客様のおかげで
苦労が報われた。
幼い頃、家庭の事情で兄と母の3人家族になりました。特別な寂しさなどを感じることもなく、兄や友達と遊ぶのが大好きで毎日、外で遊んでいました。金銭面などが大変な生活の中でも、母は何にでもチャレンジさせてくれ、空手道場に通うことができ、泣き虫だった僕は、少しずつ自信を持てるようになりました。
それから中学生になった頃、交通事故に遭い左脚に大怪我を負いました。長期入院の間、激しい痛みに何度も涙を流しましたが、共にリハビリをしてきた仲間達と支え合い、歩けるまでに回復しました。ですが、戦いはここからでした。退院後、歩き方を街行く人にバカされ、奇異な目で見られるのが苦痛で、怖くて、怖くて「あの事故で死んでれば楽だったのに。」と良くない考えが、何度も頭をよぎり、男涙で枕を濡らす毎日を過ごしていました。
その後、中学を卒業し地元の塗装屋さんに入社しました。不器用な私は、𠮟られてばかりで、何度も心が折れかけましたが、本気で向き合ってくれる親方の愛、技術に憧れを抱き、大いに塗装道に魅了され続けました。初めて任された現場が完成した時のことです、お客様から「ありがとう!一緒に写真を撮ろう!」と言われ、今までしてきた苦労が一気に報われた気がして、気がつけば笑いながら泣いてしまいました。
この仕事こそが天職です。それを教えてくれたのがお客様でした。そんなお客様に、今度は僕が恩返しできるよう、妥協すること無く培った腕を振るって参りたい。これがこの仕事に掛ける私の想いです。