厳しい父のお陰で
生きる道を見つけた
厳格な家庭で育った私は、毎夜お父さんから怒られ殴られ、「なんでこの家に生まれたのだろう。」と涙を流す日々でした。そんな中、心の拠り所は優しかったお母さんだけでした。夜遅くまで内職を頑張って大変なのに、いつだってニコニコしながら、自分の事より僕を優先してくれました。
その後、高校へ通いましたが在学中に子どもが産まれる事になり、しっかりと育てなければとの思いで中退して父の紹介で塗装道に出会いました。厳しい職人世界の中で、不器用な私は毎日、親方に怒鳴られて、今にも心が折れそうになっていました。しかし、厳しい父に育てられたお陰で続けることが出来ました。徐々に知識や技術が身につき、初めて現場を任された時の話です。お客様が「綺麗になった!本当に丁寧ね♪」と嬉しそうに声をかけてくれました。何気ない一言かもしれませんが自分にとっては今までの全てが報われた気がして、塗装を続けていて本当に良かったと、お客様の前でワンワンと泣きじゃくりました。同時にこの仕事こそが「天職だ!」と気づく事が出来ました。
その後も修練を続け、独立させていただくまでになりました。磨き続けたこの腕で、ペンキ屋こそが自分の生きる道だと教えてくれたお客様に恩返しし続けたい。そして、今は亡き母と厳しくも教訓と胆力を授けてくれた父に、最後に愛する家族、我が子に恥じぬ仕事を提供し続けたい。これがこの仕事に懸ける私の想いです。
