両親を支えるため
やっとの思いで独立
3人姉妹の長女として生まれた私の家庭は、小さい頃から両親が共働き。友達からお母さんと仲良くしている話を聞く度に「いいなぁ…。」と寂しさが溢れ、今にも押しつぶされそうでした。でも、私たちの為に一生懸命、働いて疲れているお母さんの負担になりたくないと、子どもながらに必死に堪えました。そうしている内に、早く自立して両親を支えたいと気持ちが芽生えてきました。
転機は16歳。先輩から誘われて、この道に入りました。「早くに自立して親を助けられる!」と安易に決断をしましたが、現実は甘くはなく「男も女も関係ない!」と女性の先輩に厳しく叱られる毎日。悔しくて仕方なかったのですが「絶対一人前になってやる~!」という思いで必死に続けていたある日、お客様が、お昼ご飯をおもてなししてくれて「女の子で若いのに良く頑張ってるね!」と仰って下さいました。その瞬間に緊張の糸が途切れ、今までの苦労が全て報われたような気がしました。ふと気が付くとお客様の前で、泣きじゃくっていた事を今でも鮮明に覚えています。この時に、ペンキ屋こそが天職だと気づかせていただきました。
今では先輩職人だった夫と結婚し3人の子宝にも恵まれ、お陰様で独立させていただきました。この仕事こそが天命だと教えてくれたお客様に恩返しし続けたい。育ててくれた両親に、そして子どもたちに恥じぬ仕事を生み出し続けたい。これがこの仕事に懸ける私の想いです。