塗装に込めた
恩返しの手
生まれたとき、僕は産声をあげられませんでした。心臓に注射を打ち、やっと声を発することができたそうです。体も小さく、成長の遅れから言葉もうまく話せませんでした。保育園後に「言葉の教室」へ通う日々。「なぜ自分だけ違うのか」と幼いながら孤独を感じていました。
寂しさを埋めようと、イタズラをして気を引いたり、罪を人になすりつけようとしたりしてしまいました。両親は「逃げることよりも、嘘をつくことの方がいけない。」と目を見て真っ直ぐに教えてくれました。
その日から、自分と向き合って“正直に生きよう”と心に決めました。大人になり、塗装仕事を始め必死に腕を磨きました。「経験を積み、これから順風満帆だ!」そう思った矢先の24歳。フィッシャー症候群を患い、頭痛と吐き気から仕事も生活も困難に。職長を任されるまでになり、ようやくこれからなのに、、、。絶望の中で支えてくれたのは、会社の仲間と家族でした。半年で回復し復帰後のお客様から「丁寧な仕事ぶり感激したよ」と声をかけられた時、涙があふれました。何気ない一言が僕には稲妻のような衝撃で今までの苦労が報われた気がしました。「この仕事こそが天職だ!」
そう教えてくれたのがお客様でした。だからこそ磨きに掛けた腕でお客様に恩返しし続けたい。支えてくれた家族、仲間、そして苦労を掛けた両親が誇りに思える手仕事を提供し続けたい。これがこの仕事に懸ける想いです。
