涙越えて
塗る誇り道
日本の父とフィリピンの母。との間に 2 人兄弟の長男として生まれました。母は夜の仕事をしていて一緒に寝た記憶がありません。それでも優しいお母さんが大好きでした。小学3年生の時、離婚を告げられました。大泣きしながら母を罵倒しました。あの日の事は今でも忘れらません。中学生になり突然、知らない番号から連絡がありました。大好きだった母でした。「会いたい」と一言。本当は凄く嬉しかったのですが、今まで抑えて来た感情が壊れてしまいそうで「もう会わない」。と伝えました。
17歳の時、当時から付き合っていた彼女との子を授かり、叔父に紹介された塗装仕事に、飛び込みました。蓄えも無い私は、夜も寝ずに働きました。親方は厳しい方でしたが家族の為に必死に食らいつきました。時が経ち一人で任された現場での話です。お施主様から「あなたのお陰で綺麗になったわ。毎日遅くまで本当にありがとうね」とお声掛けいただきました。何気ない一言だったかも知れませんが、僕には、言葉にならぬほど熱いものが込み上げて来ました。夜まで働いていた母と同じように働き続けて来た事。独り抱え込んでいた、やり切れぬ想いが一気に報われた瞬間でした。「塗装こそが天職だ!」お客様から教えていただきました。
だからこそ恩人であるお客様に磨きに掛けた腕で恩返しし続けたい。大切な家族を守り続け、いつか母に会えた時に特大のお礼を伝えたい。それがこの仕事に懸ける想いです。
