母との軋轢が解消し
塗装の道を行く
共働き家庭で育った私は、年子の妹と2人で留守番をするのが日常でした。そんな我が家には、掟があり、「毎日洗濯は、大変だから同じ服を2、3日着なさい」というものでした。それが原因で小学6年の頃にいじめに合いました。勇気を振り絞って、母に相談しましたが、話を聞いてもらえず「僕なんてどうでもいいんだ。」と胸が締め付けられたのを覚えています。徐々に会話は減り、怒鳴りあいの喧嘩を繰り返すようになりました。
家から逃げるように、20歳で塗装仕事を始めました。親方は、厳しく腕の良いTHE職人で、怒鳴りつけられる毎日でした。それでも、なんとか食らいつき続け、初めて1人で現場を任せてもらった時の話です。完成日に「こんなに綺麗にしてくれてありがとう!」というお言葉をいただきました。何気ない言葉のようですが、今までの苦労が全て報われた気がして嬉しくて、目頭が熱くなったことを今でも鮮明に覚えています。「塗装こそが天職だ!」と気づかせていただきました。
お陰様でその後、30歳で独立。今では両親とも距離が縮まり彼女から母が言っていた事を聞かされました。「長男で可愛かったからこそ厳しくしてしまった。もっと話をしたい。」それを耳にした私も母に、過去の全てを心から謝りました。これからは磨きに磨いた腕で両親と、ペンキ屋こそが天職だと教えてくれたお客様に恩返しする塗装道を歩み続けたいと心に決めています。
