亡き父の思いを胸に
人に尽くせる男へ
厳格な家庭に生まれた僕は、父の立派な息子に育って欲しい期待から、毎晩怒られ1人布団で涙してました。親父の期待に答えたい焦りと、ありのままの僕を認めてほしい子ども心に折り合いがつかなくなり家出をしてしまいました。身寄りがない僕を引き取ってくれたのが、同級生の親が営む塗装店でした。職人の世界は厳しく半べそをかきながら、しがみつきました。でも事務所に戻ると、一つ屋根の下で職場の仲間と馬鹿笑い。「家族や仲間って温かいんだ。」と心打たれたのを覚えています。
独り立ちし、可愛い2人の娘のお陰で両親との関係も打ち解け始めた矢先、父の訃報が入りました。血相を変え家に向かうと、静かに眠る親父がいました。その周りでは沢山の人が感謝を伝えてました。父が私に厳しく接していたのは「人に尽くせる男になってほしい。」という願いがあったと母から聞き、家出した時の未熟な自分に後悔し、泣き崩れました。
その後、亡き父の思いを胸に仕事に励みました。ある日、お客様に「こんなに真摯に向き合ってくれたのは小林さんだけ!」といわれた時、父の顔が浮かび、涙が溢れ『やっと人のためになれたよ』と天にいる父を仰ぎました。
誰かに少しずつ尽くせるようになったのも、ご縁を頂いた皆様のお陰に他なりません。天にいる父、出会ったすべての方へ、職人としてこの腕で真摯に向き合い続け恩返しをし続けたい!これが私の塗装にかける思いです。
