父の教えと
お客様の一言のため
姉2人の末っ子長男として産まれた私は、サッカー漬けの毎日でした。チームコーチを務める熱心な父と優しい母と共に高校サッカー全国大会に出ることが夢でした。そんな私の可能性を信じてくれた両親のお陰で、地元で有名な強豪校に入学できました。しかし、ここで挫折を味わいました。競争について行けず、結果として中退することになったのです。
「学校に行かないなら仕事しろ」と言われた僕は、祖父から続く建築板金ではなく塗装を選びました。両親の期待に応えられなかった申し訳なさから来る逃げの選択でした。ですが、当然に甘い仕事ではありません。覚えの悪い私は、親方に毎日、怒鳴られる修行時代を過ごしました。それでも、独立まで続けられたのは幼少期に父から言われていた「手に職を付けなさい。」の言葉があったからです。
初めてお客様から依頼があった時の話です。商品が目に見えぬ、高額なお買い物であるにも関わらず、僕を信じて選んでいただいたこと。そして完成後には「あなたに頼んで良かった!」というお言葉までいただいた瞬間に、今まで抱えていた心の靄が晴れた気がして号泣してしまいました。こんな僕でも「人の役に立つ仕事ができるんだ!」って熱くなり涙が止まりませんでした。
だからこそ塗装人生の意味を教えてくれたお客様に磨きを掛けた腕で恩返しし続けたい。両親、家族が誇りに思える手仕事を提供し続けたい。そう思わずにはいられないのです。
