女手一つで育てて
くれた母に恩返し
小さい頃から、父はおらず祖父母が経営していた和菓子屋の六畳一間の休憩部屋で、母と2人で暮らしていました。お店が忙しくなかなか家族とふれあう時間も少なく寂しい気持ちで一杯だったのを覚えています。人見知りだった私は、学校でもいじめにあってしまい、泣きながら帰る日も多く「なんのために生まれたのだろう。」と小さいながらに悩んでいました。唯一の心の拠り所は、大好きなお母さんでした。痛む体に鞭を打ち、身を粉にして、家事と仕事を両立。それでも笑顔を絶やす事のない偉大な背中が僕の悩みを打ち消してくれました。
その後、大人になり塗装という仕事に出会いました。鈍臭い私は、上手く出来ないことばかり。悔しい気持ちの毎日で、時には、辞めたいと嘆いたこともありましたが、なんとか食らいつく気持ちで続けていると、徐々に技術が身についてきました。初めて親方として現場を任された時の話です。お客様が仕上がった壁を見て「本当に綺麗ね。ありがとう!」と仰っていただきました。何気ない一言に感じるかも知れませんが、私にとっては、今までの苦労が全て報われた気がして、これこそが【天職だ!】と熱いものがこみ上げました。
それから数年後には、独立するまでに至りました。塗装道こそが天職だと教えてくださったお客様に恩返しし続けたい。それから尊敬してやまない母に恥じぬ仕事を続けて参りたい。これがこの仕事に掛ける私の想いであり信念です。