夜逃げされても
大きかった父の背中
小さい頃に両親が離婚。私は、父に引き取られました。新しい母は、外国人でした。何気ない
会話も出来ず、友達からは片言の母を馬鹿にされ寂しい気持ちで一杯でした。その後、すぐに妹が産まれ 1 人取り残された気がして、父の背中ばかり見るようになりました。ペンキまみれの作業着に憧れを抱き、15歳で迷わず父が経営する家業に入りました。この頃には、母とも打ち解けていました。
仕事では、怒られて現場の陰で涙する毎日。それでも諦めずに続け、ようやく仕事を覚えた頃。朝起きると家族の姿がありませんでした。従業員は、いつも通りに出勤してきましたが、私は心配で仕事が手つかずの状態になりました。2日経ってようやく私を残し、どこかに行ったんだと悟りました。それから県外ナンバーの怖い人達が家に来るように。後から知った話しですが、父は、友人の保証人になりその人が逃げ、全て肩代わりせざるを得ない状況にだったそうです。当時は、凄く腹が立ちましたが、お客様との会話の中で「親方(父)には、とても良くしてもらったんだよ!」という言葉を頂き、「こんなに感謝されていたんだ。」と熱く込み上げるものがありました。
紆余曲折あった人生ですが、お客様の言葉で、自らの存在価値に気が付くことができました。まさしく恩人です。だからこそ、磨きに掛けたこの腕で、お客様を幸せ色にして恩返しし続けたいと思わずにはいられないのです。